メタセコイア モデリングチュートリアル
お題は「いのしし(亥)
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2007年07月27日

スカルプテド・プリムの仕組み

さて、オブジェクトを頂点単位で編集できないSLの世界では、革命的とも云えるであろう前述のスカルプテド・プリムでござるが、いろいろ検証して解った事のメモでござる。 半分は憶測も混じっておるので要注意でござる。
先ずその仕組みを説明する前に、実際のスカルプト・マップ(ポジション・マップ)を見て頂きたい。

nakazori_base_sclp.jpg

これは、拙者が作った "Nakazori Hair" のスカルプト・マップでござる。
一見ノーマルマップに似ており申すが、ノーマルマップはその名の通りオブジェクトの面の法線(面の向きの情報)をマップのRGB値で制御することで、面単位ではなくテクセル単位でディテールを表現する、バンプマップの上位版と云ったカンジのマッピングでござる。 故に、RGBで表すのは法線の方向(ベクトル)なのでござるな。
方や、スカルプトマップで制御するのは、オブジェクトの頂点位置の情報でござる。
RGB値で制御する…と云うことは、3D空間の座標をそれぞれ R=X, G=Y, B=Z に対応させておるだろう事は容易に想像でき申す。
そんな訳で、R,G,B値それぞれ0〜255までのグラデーションを作り、立方体の対応する座標軸を表すようにマッピングしてみたのが次の画像でござる。

sculpted_prim_01.jpg

ちなみに、SLの世界は3dsMAXの座標空間と同じくZアップ(奥行き方向がY、高さ方向がZになる)でござる故、G,B値の方向には注意が必要でござる。
「何云ってんのかさっぱり解んねーよ!!」な方は、拙者の初心者向けモデリング講座「KT爺メタセコイア指南書」の「3DCG制作の流れ」あたりを御参照下され。

理屈的には、この3チャンネルのマップを加算合成したマテリアルを適用できて、尚且つそれを元の32×32セグメントのメッシュのUVで開く(ベイクする)事が出来る3Dソフトウエアがあれば、スカルプテド・プリムは作れる訳でござる。 なんとも小難しそうなお話になって来たが、理屈を知って応用したい、手持ちのソフトで何とかしたい…と云う方はがんばって理解するでござる。

さて、3dsMAXで上記3チャンネルのマップを合成したマテリアルを作り、立方体に適用したのが次の図でござる。

sculpted_prim_02.jpg

幾つかの合成マテリアルを試してみたが、「セラックマテリアル」で可能なようでござった。 3dsMAXの場合、実際にはUVWマップと云うマッピング座標の奥行き情報が使え、グラデーションマップがそのW(奥行き)を反映できる3Dマップである故、わざわざ3チャンネルの平面UVを使う必要は無いでござる。(一方向からのUVWマッピングで、グラデーションの方向を調整すれば良い)

この立方体内部の空間が、スカルプテド・プリムのローカル座標的な役割を果たす訳でござる。 この内部で32×32セグメントの好きな形のオブジェクトを作り、立方体と同じUVでRGB値をマッピングした後、オブジェクトの元のUVでベイクしてやれば良い訳でござる。

さて、その編集する形状の元となるオブジェクトがこれ。

sculpted_prim_03.jpg

これは、メタセコイアの「基本図形」コマンドで、U方向32、V方向32 で作った円柱のキャップを削除したものでござる。 これを基本の形として、メッシュ構成とUVを変更せずにモデリングすれば、SL内で最も再現性の高いモデルが作れる筈でござる。 無論、16×16セグメントのメッシュを曲面化機能で細分化して編集した後、曲面をフリーズして仕上げたり、半分を削除、鏡面を設定して左右対称オブジェクトを作った後、鏡面をフリーズする…と云ったメタセコイアでの通常のモデリングを行っても、最終的にUVを元の格子状に修正すれば問題はござらぬ。

上記32×32のメッシュで作れば最も再現性が高い…とは云っても、元々スカルプテド・プリムの形状の再現力には限界があり申す。 その原因は、24ビットカラーの階調の限界と、スカルプト・マップのJPEG圧縮によるノイズの混入のようでござる。
スカルプトの原理を考えれば、各軸8ビットの256階調で表現される訳でござる故、1m四方の座標内では約4mm未満の精度は期待できぬと言うことに成り申す。加えてSLにアップロードした画像はサーバに保存される時点でJPEG2000フォーマットで圧縮されるらしく、この時の圧縮によるノイズが、どの程度頂点の配置に影響するかは予測不可能でござる。 そんな訳で、現時点でのスカルプテド・プリムは、細かい部品などを作るにはあまり向いてないようでござるな。

あと、スカルプト・マップで定義できるのは、頂点の位置情報のみでござる故、モデルの作り方によっては面を構成する頂点の並び順がSL内のプリムとは逆になってしまう場合が有り申す。結果的にスカルプテド・プリムの面が裏返ってしまう事になるのでござるが、これは画像編集ソフトでスカルプト・テクスチャのU方向(横方向)を反転させてやることで修正が可能でござる。

さて、仕組みと特性さえ理解すれば、あとは使い慣れた手持ちのソフトで如何に再現するかを考えるだけでござる。 また、チュートリアルと同じようにやってみたが上手く行かない…と云った場合でも、自分で考えて原因を探る事も可能でござろう。

手間はかかるが、工夫すればメタセコイア(&Photoshop等の画像編集ソフト)だけでも、スカルプテッド・プリムは作れそうでござるぞ。
posted by KT爺 at 16:15| Comment(0) | TrackBack(0) | Second Life
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